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奈央子とも駅で別れ,僕と野崎は2人きりとなった。
「やっぱ前の家に住んでるのか?」
「うん。お父さんの出張も終わったしね」
「野崎が仕事する時はどうするんだ?」
「東京まで出るか,ここで済ませるかどっちかだね」
「そうか。大変だな」
「好きでやってるだけだから」
笑って答える。だが,雑誌モデルが普通に歩いているのに誰も気付かないのは凄いな。
「そう言えば,僕は野崎が雑誌に写ってるのは見たことないんだが」
ふと聞いてみる。すると野崎は少し声を出して笑った。
「女の子向けのファッション誌だもん。今度見せてあげよっか?」
「それは楽しみだ」
どんな風に写ってるのか気になる。
「それで鳴海くんは会長さんと付き合ってるのかな?」
「は?」
突然聞いてくる。しかもドストライクだ。
「いや,あの会長さんすっごく可愛いじゃん?それに2期連続で同じ生徒会でしょ?それに2人の間に何かを感じたし」
さっき考え込んでいたのはこれだったのか。だがここで簡単に認める訳にはいかない。
「それは思い違いだ」
「あっそ。じゃあ携帯見せてよ。恋人とのメールを確認してあげる」
半ば脅迫じゃないか。
「あ~,分かったよ。確かに僕は奈央子と付き合ってる。でも絶対内緒だぞ」
「もちろん分かってるって。秘密は守る,野崎ですから♪」
その後の野崎はなんだかご機嫌だった。弱味を握って嬉しいのだろうか。
ただ,僕の懸案事項が1つ増えたのは確かだ。
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