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僕はいつのまにか生徒会室で本を読みふけるのが習慣になっていた。いつの頃からか分からないけど,知らない間にそうなっていた。
生徒会顧問の桐谷先生も許可しているし,会長も何も言わない。僕1人だけのこの教室で,無心に本を読む。これが僕の毎日の習慣だ。
もちろん,今日もそうだった。
「さすがに遅くなっちゃったな」
これまで読んでいた本を閉じ,時計を見ると,既に6時になろうとしていた。辺りも薄暗くなってきている。僕がこんなに遅くなるのは初めてだ。本に夢中になりすぎた。
急いで生徒会室を出る。そして職員室に生徒会室の鍵を返す。
「おや,鳴海じゃないか。珍しいな,こんな時間まで残ってるなんて」
「会長…」
廊下で声を掛けられ,振り返ると神山会長がいた。
「今から帰りか?」
「はい。そのつもりです」
会長は僕と同学年だが,僕は敬語を使って接している。一応,目上の人だというのが理由だ。
「そうか。なら一緒に帰らないか?」
「いいですよ」
僕は笑って答える。
「よし,じゃあ行くか」
会長が歩き出した。僕も着いて歩く。後ろから見ると会長の長く,綺麗な髪が揺れるのが分かる。いつもどうやって手入れしているのだろうか。
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