修学旅行という名の想い出作り

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~汐里ルート~ 鳴海くんと別行動になってしまったのは残念です。しかし,皆さんなぜ大仏殿へ行かないのでしょう。私としては,東大寺=大仏殿なのですが。 「井原さん,あそこにいるのって,さっき鳴海と話してた結衣って子のグループじゃない?」 私と大仏殿へ向かっている宮川くんの視線の先には鳴海くんと仲良くしていた女の子のグループの人達がいます。 「そのようですね。あの子達も気付いたようですよ」 その女の子のグループ(といっても2人だけですが)が,私達の方にやって来ます。 「あなた達,生徒会の井原さんと宮川くんよね?会長さんと鳴海くんは?」 片方の子が言いました。確か名前は,芳江さんだったはずです。 「会長と鳴海くんは,大仏には興味が無いようなので別行動です」 「そうなの?なんか2人,そうしているとカップル見たいよ」 「ち,違います。そんなんじゃないですよ!」 「分かってるって」 「でも隣の彼は動揺しちゃってるね」 もう一方の確か綾さんが,宮川くんの方を見て言いました。確かに宮川くんの顔が赤くなっています。 「え?まさか生徒会内の禁断の愛?」 芳江さんが宮川くんを見て楽しそうに言います。 「そんなんじゃない!」 慌てたように宮川くんが否定します。 「ところで2人ならさ,私達と行こうよ」 この綾さんの話の変えようを見ると,宮川くんの返答は関係無かったようです。 「私はいいですけど」 人数が増えても関係ないですしね。それに,鳴海くんと仲良くしてる結衣さんも気になります。 「よし,じゃあ決定ってことで」 笑顔の綾さん。 「俺の意見は無視?」 「宮川くん,女の子がいいって言ったら男の子に拒否権は無いのよ」 芳江さんが宮川くんに笑って言いました。 「なんて女尊男卑社会だ」 そう嘆いた宮川くんに思わず私も笑ってしまいました。
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