修学旅行という名の想い出作り

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私達は大仏を見終えた後,宮川くんが言いました。 「ごめん,トイレいいかな。お腹痛くなってきちゃった」 「あれ?女の子に囲まれて緊張しちゃったの?」 芳江さんが笑いながら言った。 「そんなんじゃないって」 少し顔を赤くして宮川くんが反論した。 「芳江,あんまり宮川くんをいじめない。可哀想でしょ。 じゃあ宮川くん,行ってらっしゃい。私達はここで待ってるから」 「うん。行ってくる」 そう言って,宮川くんはパタパタ走っていた。 「あの,芳江さん,綾さん」 「芳江でいいって」 「綾でいいよ」 2人が殆ど同じ反応をして少し驚いてしまいました。 「では,芳江,綾」 「「何?」」 「結衣さんのことなんですが」 「ああ。結衣が鳴海くんと仲良くしてるが気になるの?」 「え?」 聞きたかったことドストライクです。綾は超能力でもあるんでしょうか。 「どうやら当たりみたいだね」 「はい…」 「ふ~ん。結構井原さんも可愛いねえ。顔だけじゃないの」 「芳江,人をからかう癖を改めてなさい」 芳江の冗談に綾がツッコミを入れる。 「まあ結衣が鳴海くんと仲良くしてるのが気に入らないのは分かるよ」 「一言も気に入らないとは言ってません」 「でもそうなんでしょ」 「…まあ」 「とりあえず,安心していいよ。結衣は鳴海くんと付き合うことは無いと思うよ。結衣は今は好きな人はいないって言ってたし」 「今は,ですか?」 「そう,今は。少し前まではいたみたいだけど,その人には彼女がいたみたいで。さっさと諦めたみたい」 「そうなんですか」 簡単に諦められる結衣さんが羨ましいです。私も諦めた方がいいと分かっているのですが。心の底では諦めきれません。現実は難しいです。 しかし鳴海くんの彼女とは誰なのでしょうか。
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