修学旅行という名の想い出作り

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「ねえ,充くん」 「何?」 鹿に紙せんべいをあげながら充くんが答える。 「充くんって,彼女とかいるの?」 私が気になったことを聞いてみる。もし充くんに彼女がいたら,諦めるしかない。 「何っ?突然」 充くんが少し顔を赤くして言う。 「別に?気になったから」 「俺は彼女なんていないよ。欲しいけどね」 じゃあ今私が告白したら,付き合ってくれたりするのかな。 「じゃあ川口さんはいるの?」 「ふえ?わ,私はいないよ」 「そうなの?意外だなあ。川口さんモテるでしょ」 「え?そんなこと無いよ。私を好きだって男の子なんて1人も知らないよ」 「じゃあ川口さんはそういう男の子を1人知ることになる」 「どういう意味?」 「俺は,川口さんが好きだから」 「ふえ?」 顔がかあっと赤くなっていくのが分かる。 「あれ?反応それだけ?結構決死の告白だったんだけどなあ」 「いや,でも充くんってこの前汐里ちゃんにも告白してたでしょ」 前に鳴海くんがそんな話をしてた。 「ああ,まあしたけど。でも川口さんを好きになったのはその後だから」 「なにそれ?」 思わず笑っちゃった。 「あ,信じてないな」 充くんが笑いながら返事する。見ると充くんの顔も真っ赤だ。 「信じれないよ~」 「じゃあ俺とは付き合えないと」 「いや,そんなことは言ってないよ」 「じゃあ付き合ってくれる?」 「…充くんなら」 顔が凄く赤くなってる。 「え?ホントに?」 「…うん」 「やったあ!告白成功だ~」 そう言って充くんが私に飛び付いてきた。 「や,やめてよ。こんなトコで。誰かが見てるかも…」 充くんに抱きつかれた私は,すぐそばに結衣ちゃんと鳴海くんと奈央子ちゃんが立っているのを見た。 「昼間からお盛んのようだな」 と奈央子ちゃん。 「場所を考えろよ,バカ充」 と鳴海くん。 「これはこれは初日から面白いものをまたまた見てしまいましたね~」 と結衣ちゃん。 そして充くんは, 「うわ!皆いつの間に?」 そう顔を真っ赤にして驚いたのでした。
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