修学旅行という名の想い出作り

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~和也ルート~ 「そういえば合唱の大会はどうだったんだ?」 確か近くに大会があるとか言ってたな。 「残念ながら。私達の学校はあんまり優秀な方じゃないから」 「そうなのか」 僕と奈央子は暇なので鹿せんべいを買っている。鹿に餌付けをするのだ。 「口渡しってしたことあるか?」 「何それ?」 「鹿にせんべいを口で渡すんだ」 「どんなのどんなの?やって見せてよ」 「あんまり美しいとは言えないぞ」 「和也がやるんだから大丈夫だって」 そう言われるとな。やるしかないか。 「まず鹿には2種類ある。ベタっと食べるタイプとサラッと食べるタイプだ。最初にせんべいを普通に渡してみる。口渡しが出来るのはサラッとタイプだ」 そう言って,僕は近くにいた鹿にせんべいを食べさせる。見たところこの鹿は後者だ。 「そして口渡し」 せんべいを口にくわえて鹿に渡す。鹿が食べ出すと同時に口から離す。 「終了」 「すっご~い。私もやってみようかな」 「え゛?誰かが見てるかも知れないぞ」 「大丈夫。多分いないから」 大雑把だな。まあパッと見誰もいないからいいか。 奈央子が鹿せんべいをくわえる。しかし,我が学校の生徒会長が鹿せんべいをくわえてるのを見たら,生徒達はどう思うだろう。 ぱしゃ カメラのシャッター音。 「え?」 「何だ?」 「面白いですね~。ナオナオにこんな一面があるなんて。バッチリ撮らせてもらいましたよ」 そこにはなぜか結衣が,カメラを構えて立っていた。
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