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「ちょっ,カズ!お前いつから!?」
バッと川口さんから離れて,充が言った。
「抱きついたとこから」
「しっかり写真も撮っちゃいましたよ~♪」
結衣がそう言って,持っていたカメラを掲げる。ちなみに奈央子が鹿せんべいをくわえている写真も,この中に入っている。
「え?マジ?結衣,流出とかさせないよなあ」
「はい,これは私物なので」
「良かった~」
川口さんも安心したように言う。
「まあ面白いものも見れたし,僕はまた別行動するよ」
「え~,一緒に遊ぼうよ~」
「少し会長と話したいこともあるし。
いいですよね,会長」
「ああ,私は構わないが」
「デートか?」
「それはお前と川口さんだ」
真っ昼間から抱き合いやがって。
「なっ!あれはたまたまだって」
「まあいいや。僕は行くよ。じゃ」
「じゃ。変なことするなよ」
充には言われたくない。
「じゃあね~」
「ばいば~い」
「ああ,じゃ」
そして歩き出す僕と奈央子。充と川口さんと結衣が見えなくなるまで,さっささっさと歩く。
やっぱり僕は会長版奈央子より,彼女版奈央子の方がかなり好きだ。
「それで,話って何?」
3人を見えなくなってから,奈央子が言った。今は彼女版奈央子。
「ああ,奈央子って誰に対してそういう接し方するんだ?」
疑問に思っていたことを,聞いてみることにした。
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