修学旅行という名の想い出作り

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「私がこの口調で接するのは,家族,絵美ちゃん,和也の3人だけだよ」 「え?じゃあ僕って凄く特別?」 案外少ないんだな。もう少しいると思ったが。 「そういうことだね」 笑みを浮かべながら奈央子が言った。 「でもなんで普段からあんな話し方なんだ?」 「私は中学の時に転校したの。両親の海外移住によって。その時にお父さんに言われたの。 『これからは奈央子はしっかりしていかなきゃ駄目だ』 って」 「それであんな話し方になったのか」 「そう。でも絵美ちゃんは初めて遊んだ時に,お姉ちゃんから伝わっちゃって。でもそれがきっかけでこんなに仲良くなったんだけど。 今ではどっちが本当の性格なのか分からないくらい,あっちの話し方をしてるけど」 「まあ接する時間は,そっちの方が明らかに多いからな」 その内性格が入れ替わってしまうかもしれないな。 「でもこの話し方は,和也専用になるかも」 「そうか」 その方が僕としては面白い。むしろそうして欲しいな。 他の誰も知らない,僕だけの奈央子って感じだ。
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