修学旅行という名の想い出作り

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「今日は清川充,彼女できた記念と言うことで,盛大に騒ぎたいと思います」 「何?清川,お前に彼女ができただと?」 「相手は誰だ!?」 「まさか清川君に負けるとはね」 「…」 ここは本日泊まるホテルの一室。さすがに泊まる部屋はクラス単位で分けられている。僕の部屋は,僕と充と野球部グループの6人部屋だ。 そして,さっきの充の宣言で一気に部屋が騒がしくなったと。 「まあまあ皆さん静粛に」 得意顔で皆をなだめる充。 「充,あんまり調子に乗るなよ」 「大丈夫。そこまで調子には乗らない」 既に十分調子に乗っていると思うぞ。 「で?誰なんだよ?」 篠島が聞く。 「生徒会書記,川口絵美」 「何だと?」 「まさかそんな高レベルな子だったとは!」 「そんなのは断じて許されることでは無いぞ」 「…凄い」 「言っちゃっていいのか?」 「問題ない。絵美に許可は取ってあるから」 「絵美だってよ~,ちゃっかり下の名前で呼びやがって」 篠島が愚痴る。 「後井原さんは鳴海にゾッコンだから,残るは会長様だけか」 高木が言う。 「別に井原さんは僕の彼女とかじゃないぞ」 「うっせえ!あんなにアタックしてんの見たらなあ,誰も手え出せねえって」 頑張ってアタックしろよ。案外普通にOKしてくれるかもしれないぞ。井原さんは僕のことは諦めているらしいからな。 「じゃあ俺,会長様に告白しようかな?」 篠島が宣言。 「おやおや?ついに挑戦かい,会長ラブの篠島くん?」 「腹立つ言い方すんなよ野口。お前それだからモテないんだよ」 「お互い様でしょう」 取りあえず,奈央子に告白しても粉砕確実だな。 「あ,僕ちょっと生徒会の呼び出しあるから。じゃ」 今日は生徒会メンバー全員に呼び出しがかかっている。 「…じゃあ」 あっちは盛り上がっていて,反応したのは霧生だけだった。 でも気にせず,僕は部屋を出た。
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