修学旅行という名の想い出作り

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生徒会の用事も終わり,僕が部屋に戻ると,何やら真剣に話し込んでいるようだった。 「何話てるんだ?」 蚊帳の外の霧生に聞いてみる。 「…相談」 霧生はしゃべる内容が少なすぎる。 「なんの相談だ?」 「…篠島がいかに会長に告白するか」 「で?どんな感じなんだ?」 「…今日の夜,呼び出すらしい」 今日かよ!いくらなんでも早すぎるだろ。善は急げとは言うが。 「分かった。ありがとう」 一応,霧生にお礼を言う。すると,充が僕に気付いたようだ。 「あ,カズ。やっと帰ってきた。でさ,お願いなんだけど,今日の夕食後,会長を呼び出してくんない?」 「どこに呼ぶんだ?」 「この部屋。俺達は押し入れに隠れるから」 「篠島が告白すると」 「そういうこと」 「分かった。一応呼ぶよ」 失敗するのは明らかだが,ここで拒否れば命は無いだろう。奈央子には頑張ってもらうか。 「さて,そろそろ夕食の時間だ。俺達も行くとしよう」 野口が立ち上がり,他の面子も立つ。 「まあ頑張れよ,篠島」 心にも無いことを言う。あえて言うなら,振られた後頑張れと言うことだ。 「おう,いっちょやったるぜ」 ヤル気満々な篠島に,何だかすまない気がしてきた。
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