修学旅行という名の想い出作り

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風呂上がり。 篠島の心の傷は少しは癒えた様だ。まだ完治とまではいってないが。霧生も結衣が出ていったとほぼ同時に帰ってきた。 そして霧生は,高木や充にの取り調べのターゲットとなった。 「霧生,なんでお前は谷中と一緒に外へ行ったんだ?」 「…別に。大した理由は無い」 いつもの如く無表情で答えた。霧生は本当に感情を表さない。宇宙人に作られた人造人間かとも思ってしまう。 「篠島の告白を見たくなかったとか?」 「…違う。理由は無い」 「じゃああれか,結衣が心配だったとか?」 「…違う。理由は無い」 全く同じ答えか。本当に人間なんだよな。サイボーグか? 「あ」 その時,ふと僕の脳裏にある考えが浮かんだ。これが真実かもしれない。 早速霧生に耳打ちする。 「……違う」 間が長かったな。動揺したのか?まあ,確かめる方法はいくらでもある。 「鳴海,なんて聞いたんだよ」 「別に。まあ違ったからいいっしょ。取りあえず僕はもう寝るよ」 そう言って布団にこもる。今は10時。風呂上がりと行っても,僕のクラスは最後だし,僕達も最後の方に入った。もう消灯の時間だ。 「おい,修学旅行と言えば夜だろ。寝させねえよ」 「明日たっぷり付き合ってやるよ。今日は疲れた」 多分明日も相当疲れるだろうな。 「分かった。約束だぞ。ちなみに俺達はまだ起きてるから」 「分かった」 携帯はロックしておこう。奈央子とのメールを見られたらマズい。
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