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穏やかな川のせせらぎ。僕は奈央子達とその川を見ていた。
「川口さん達はどこに行ったんだ?」
充を連れて去ってしまった川口さんは未だに帰ってこない。
「さあな。川口のことだから心配はいらないだろう」
「そのうち帰ってきますよ」
奈央子と井原さんが言った。ある意味絶大な信頼を得ているんだな。
「そろそろお昼にしたいんだけど」
「僕もだ」
宮川の言葉に同意する。
「仕方ない。電話するか」
携帯を取り出す奈央子。
「もしもし,川口か?」
電話口に話し出す。
井原さんが川の方へ歩き出した。
「どうしたんだ?」
「いえ,折角ですからじっくり見ようかと思いまして」
「都会にはあんまりこんな川は無いからね」
宮川が反応する。ここは邪魔者は去った方がいいか。
「川口さんは何だって?」
「時間を言ったら慌てていた。すぐ来る」
時間を忘れて充と遊んでいたのか。いかにもあの2人のやりそうなことだ。
宮川と井原さんは2人で写真を撮っていた。この川を想い出に残しておくつもりなんだろう。
「皆~,ごっめ~ん!」
川口さんが走ってきた。
「お昼御飯に行こ♪お腹空いちゃったよ」
気楽な人だな。好きなように生きている。
宮川達も川口さんの帰還に気づいたらしく,こっちにやってきた。
「距離は近づいたか?」
「少しはね。ただ難攻不落に変わりはない」
「まあ頑張れよ」
宮川の努力しだいだな。井原さんが傾くかどうかは。
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