1184人が本棚に入れています
本棚に追加
結構な数の生徒がカラオケ大会にやって来た。まあ聞き専門も中にはいるだろう。先生なんかは聞きのはずだ。
「諸君,よく集まってくれた。早速始めよう。一番手は誰だ?」
時間になり,奈央子が開会の言葉を告げる。
「トップバッターは会長でしょ~」
どこからか男子の声。
「やっぱ会長が一番に決まってるよね~」
またどこからか女子の声。
「か~いちょう!か~いちょう!」
会長コールが起こるまでそんなに時間はかからなかった。明らかに戸惑っている奈央子。
「歌え歌え~!」
僕も悪のりしてみる。
「あ~,分かった分かった。私が歌えばいいんだな」
わ~っと歓声が上がる。奈央子も観念したようだ。
奈央子が曲を入れると,すぐに曲は始まった。
さすが合唱部と言うべきか,奈央子の歌はかなり上手かった。ただ今回の歌声は,どちらかと言うと私生活奈央子の方に近かった。
その声にほとんどの男子は昇天し,女子は憧れの目で奈央子を見入った。
曲が終わると同時に大きな拍手。
「では次は副会長の鳴海くんに歌ってもらおう」
奈央子がいたずらな目でこっちを見る。再び生徒からの大きな歓声。
「よっしゃ,歌って見せよう」
ステージに向かい,奈央子からマイクをもらう。
「お疲れさん」
すれ違いさまに声をかける。奈央子は少し笑っただけだった。
こうしてステージに立つと,この広間も見渡せる。奈央子は女子達から歓迎されているようだ。
「さて」
歌ってやろうか。僕の好きな曲の中で,盛り上げに最も最高の曲,●'zのウル○ラソウルを!
最初のコメントを投稿しよう!