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「私大人になってやりたい事なんか無いよ」
「え?」
その時のケンちゃんの顔はいつも心配そうに私を見る目と同じであった。
「だっていつも間違って怒られてばっかで成長出来ないもん
私はバカでマヌケで嫌われていて可愛くもない…
だからそんな私は大きくなんてなりたくない!」
私は人に仕える平手家が嫌いだった。
この家を抜け出して何回自由になりたいと思った事か…。
どうせケンちゃんだってバカにしているに決まっている!
そう思いケンちゃんの表情を見ようと顔を上げる。
しかしケンちゃんの姿がなくなっていた。
「……」
ケンちゃんにも嫌われたな…。
そう思った瞬間後ろから激しく叩かれた。
「うだうだうだうだ言ってて聞きたくなかった
そんなお前にアドバイスしてやる!」
「アドバイス?」
「バカでマヌケで嫌われていて可愛くないなんてそんな他人の話に耳を傾くんじゃねーよ
お前はバカじゃねーしマヌケじゃねーし嫌ってもねー
それにお前は十分可愛いから」
「えっ?」
「だから自信持て!
仕える場所が無ければ俺のところに来い
だから苦しむな!」
この時から彼はこれからの私の成長を支えるきっかけになるのだった。
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