†第十四章:遭遇†

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  夜警を続けていく内に、何時の間にか辺りに人影が無く、雑鬼達の喋り声さえ聞こえなくなっていた。 『チッ、結界か……』 無表情ながら、悪態をつく彩は限りなく貴重だが、今はそんな事を考えている暇はない。 辺りに警戒をしながら妖気を探る。なかなか正体を表さない妖に苛立った昌斗が叫ぶ。 「隠れてないで出て来い!!」 静寂の中に響いた昌斗の声。その次に響いたのは不気味な嘲笑う声。 スッと暗がりから姿を表したのは九尾の一の配下の雪代と二の配下斬娑だった。 『雪代と……斬娑か』 小さく紡がれた言の葉に斬娑と雪代は笑った。まるで、忘れられていなかったのが嬉しいかのように。 .
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