現ノ宮

8/8
前へ
/85ページ
次へ
「信じられないだろうね。まぁ泊まるとこもないだろ?私達の村まで来なよ。詳しく説明出来る賢者もいることだしね」 確かに泊まる場所もない… まだ話は信じられないけど このおじさんを頼るしかないな 「ハイ。よろしくお願いします」 僕とおじさんは近くにあるという村を目指して歩く 三十分程歩くと小さな村が見えてきた 「もう見えるだろ?あそこだよ」 おじさんは指差す 小さな村だが石の外壁のようなもので囲まれ砦みたいだ 「石の壁はどうしてつけてるんですか?」 疑問を投げかける 「魔物から村を守るためだね。まぁ気休めみたいなものだけど」 話している内に村の入口に着いた 門番をしている人と挨拶を交わして村に入る 僕が住んでいた街とは全然違う造りの家々や店に興味を惹かれてキョロキョロと村を見回す 「あんまりはぐれるなよ。君はまだこの世界について知らないんだ」 おじさんから少し離れていた僕は慌てて戻る 「村の中にも危険があるんですか?」 「完全に安全な場所なんてどこの世界にもないだろう?」 確かに… はしゃぐのはよそう しばらく歩くと ‘タダで病を治す亭’ という看板が掛かっている家を見つけた なるほど ここが安全じゃないところか 僕がそう思いながら家の前を通り過ぎようとすると おじさんが僕の手を掴んで引き戻す 「ここがさっき言った賢者の家だよ」 「えっ…」 絶句した どう考えても 賢者 と言う異名を取るようなおじいさんがいるような場所には見えない 不安だ…
/85ページ

最初のコメントを投稿しよう!

74人が本棚に入れています
本棚に追加