89人が本棚に入れています
本棚に追加
/22ページ
草木も寝静まった夜。
聞こえるのは規則正しい寝息と虫の音……。
その主は1人の少年。
窓から入った月明かりに照らされてうっすらと顔が浮かび上がる。
安らかに眠るその顔は、これから起きる事など知るよしも無かった……。
†愛玩人形-アイガンニンギョウ-†
屋敷内を歩く1人の男。
その男は此の屋敷の主人でもある紅蓮。
紅蓮は今、零汰の眠る部屋に向かっていた。
荒々しく扉を開けて、布団を剥ぎ取ると零汰が目を覚ました。
「ん。ぐ、れんさん?まだ夜です、よ?何やって、るんですか?」
寝起きのせいか呂律が回っていない。
口調もたどたどしい。
「何って……ペットは躾をするものだろう?」
紅蓮は妖しく笑う。
逆行のせいか零汰はその笑みに気付かなかった。
「ペット?しつけ?」
零汰は言葉の意味が分かって無いのか同じ言葉を繰り返す。
「その内分かる」
そう言って紅蓮はベットに上がり、零汰の手を掴んだ。
「いやっ!!離してっ!」
零汰は危機感を感じて暴れる。
しかし寝起きの体は簡単に言う事を聞かず、すぐ紅蓮に捕まってしまった。
「離して!何で僕が!!」
足をバタつかせて暴れるが、大人の男の力に敵う訳がなかった。
「言った筈だろう。ペットは躾ると……」
最初のコメントを投稿しよう!