深夜、寝室にて

2/5
前へ
/10ページ
次へ
照明の落とされた室内は、エアコン独特の生温い空気に包まれている。 わたしは、それに少し不快感をおぼえて……けれどもどうしようもなくて。一度だけエアコンを睨み付けてから、小さく溜め息を吐いた。 「……」 隙があるだなんて、そんなのは嘘だ。あなたは、決してわたしに隙を見せたりはしない。 無防備だなんて、それは絶対に罠だ。 たとえ、こうしてわたしの目の前のあなたが穏やかな寝顔を晒していたとしても、そんな事が一体何になるというのか。 例えば、例えばの話。あなたの白い首筋にこの手をかけて、そのまま締め付けて、あなたを物言わぬ肉塊に変える事ができるとして。 はたして、わたしはどうするだろうか。
/10ページ

最初のコメントを投稿しよう!

16人が本棚に入れています
本棚に追加