深夜、寝室にて

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きっと、そう。きっと何もしない。 そういった仮定が全て現実になったとしても、どうせわたしには何もできはしないのだろう。 今この時と全く同じように。わたしを閉じ込める忌々しい籠からの解放を夢見る事すらも自由にできず……先程まで何が行われていたのかを如実に物語る乱れた寝台の上で、眠る事もなくただあなたの寝顔を見つめている事しかできない。 それはきっと、とても情けない事なのだろうけれども。 ……だって仕方が無いじゃない。始まりから、既にわたしは負けているのだから。 あなたに捕らわれたあの日から二人の関係は固定されて、それは決して覆りはしない。 そっと、手を伸ばしてみる。悟られぬように、気取られぬように。 しかし、わたしの指先があなたの肌に触れるか否かのギリギリのところで、結局あなたは至極当然のように瞼を持ち上げる。
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