深夜、寝室にて

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あなたはクスクスと笑いながらわたしの髪に、額に、頬に、撫でるように指を滑らせていく。 そして、その指がわたし首に辿り着いた瞬間。 信じられない程強い力でそこを締め付けられ、息が詰まり、苦しさと恐怖に身体が強張り顔が引きつった。 そんな様子に満足したのか、小さな囁きと共にわたしの首から手が放れ、どこか楽しそうな表情を浮かべてあなたは再びわたしを抱きすくめる。わたしはと言えば、無様にもただ呼吸を整えようとまるで金魚のように口をパクパクと動かす事しかできずにいる。 『籠の鳥は、籠の外では生きてはいけないのよ』 あなたが告げたその言葉が、いつまでもわたしの耳に響いて。一晩中、眠りすら忘れてただただ嗚咽を押し殺し続けた。
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