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「ぅんふっふ、ふふふ、ふふふふ、ふん♪」
妙にふ、と、ん、が多い鼻歌を歌いながら、俺の手をブンブン振る妹尾。
余りの人混みにぐったりの俺。
「まだ回んのかよ…」
暗に休憩を促してみるが。
ドーパミンが出ているのか、妹尾は俺の手を握ったままズンズン先をゆく。
正直、暗い中、人を避けながら歩くのは疲れる。
でも、時折気遣うように振り向く白い顔が、夜に浮き上がる。
…、ハッとする程可愛い。
「もうへばったの?天志郎。
後3時間しか無いんだからぁ、ドンドン行くわよ~!」
金曜の夜。
学校が終わったらソッコー着替えて。
駅で待ち合わせしていた妹尾と合流した。
付き合って三ヶ月。
少し遅れてきた妹尾は、普段大人っぽく見られる外見を、それはそれは可愛く仕上げて来ていて。
「…?変、じゃないわよね…?」
固まる俺に若干不安になったのか、モゾモゾする妹尾。
「…いや、…可愛い」
口に出すと、ものすごくびっくりした顔をして、…花が綻ぶように笑顔になった。
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