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「ぉおぉ~!天志郎にそんな褒め言葉、初めて言われた!」
それから、サイハイブーツがどう、とか、ショーパンに於ける絶対領域がどう、とか、ごちゃごちゃ言っていたが、取り合わず手を握ってここまで来た。
それから一度も、…離していない。
「お前は元気だな…」
「天志郎は老けすぎ。せっかく来たんだから、楽しもうよ~。
だから、学校でとっちゃん坊やッて言われるんじゃない」
「…誰がとっちゃん坊やだ」
周りにいつもツイていけないのは確かだが。
妹尾を含め、一様にテンションが高すぎるのも原因の一つではないだろうか。
「ダァーッ、もう休憩休憩!
オラ、こっち来い」
「えぇえぇえッ~~!」
握ったままの手を引くと、渋々着いて来た。
人気の少ない植木近くの角に陣取り、おざなりに柵に寄り掛かる。
左隣で石を蹴る真似をする妹尾。
「ちぇッ―、後四つは回れると思ったんだけどな―ッ」
「どうせ延々と並ばなきゃいけないんだろ?
ちったぁ休ませろ」
ぷんぷ―ん、なんて口ではふざけた後、静かになった妹尾が小さく呟く。
「…ごめんね、昨日も遅かったんでしょ?
無理、させてる?」
「気にすんな。
ただ単に、人酔いしただけだから」
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