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(大丈夫だよ、蘭ちゃん。
なんだかんだ言って、この子、あんたが作ったもの、全部食べちゃうんだから)
目を見開いて俺を見る妹尾に、気付かない振りで寝返りを打つ。
…ばあちゃんの裏切り者め…。
(…へぇ、ほぉ、ふぅ~ん…)
(蘭ちゃんが来るようになってから、部屋も前より片付けてるよ。
見られちゃ困るモノでもあるんじゃないかねぇ)
(……へぇえぇ~、じゃあ、お祖母さま、明日辺り家捜ししても…)
「だぁあああ!!!
やめろ!妹尾!」
「あ、やぱ、狸寝入り」
跳び起きる俺を眺めて、にまにま笑う妹尾とばあちゃん。
…いつの間にか、コンビ芸が磨かれてねぇか?
「寝る訳ゃネェだろ、次があんのに。
オラ、そろそろ送って行くから支度しろ」
立ち上がって、着替える為に部屋に戻る。
隣の部屋からは、細々と会話する声が聞こえてきた。
「ありがとうねぇ、蘭ちゃん」
「いえ、こちらこそ、です。
お祖母さま、明日は運針を教えて下さい」
「お安い御用ですよ。
…天志郎をよろしくね」
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