ベターハーフ(ベターハーフシリーズ)

4/5
前へ
/11ページ
次へ
はい、と答える妹尾に、内心世話してんのは俺の方だろ、と愚痴りたくなる。 何の為に、バイトの合間にわざわざ帰って来てると思ってんだ。 それもこれもこのおバカが、俺が帰って来るのを見越して遅くまで帰りやがらねぇからだ。 俺がいないぶん、ばあちゃんと居てくれるのは有り難いけども…。 やはりため息をつきつつ、次のバイトの制服代わりの白シャツと黒のパンツに着替えて、革靴を出す。 パタパタと付いて来た妹尾を、自転車の後ろに乗せてゆっくりと漕ぎ出した。 「てんしろぉぅ。何怒ってんのよぅ」 俺の腰にぴったりくっついて、甘えた声を出す妹尾。 「…怒ってねぇ」 柔らかい胸がむにゅっと背中に押し当てられて、つい、少し蛇行運転になる。 いや、俺だって健康な青少年なわけで。 「お前な、いい加減あんまり遅くなんの止めとけ。 俺だって遅くなるかもしんねぇし。 いつでも送って行けるとは、限らねぇんだからな」 「やっぱ怒ってるじゃないの」 「…後、いきなりドア開けるな。 鍵を使ってるのが、強盗だったらどうする」 「はいは~い!も―ッ!口うるさいんだから…」
/11ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加