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はい、と答える妹尾に、内心世話してんのは俺の方だろ、と愚痴りたくなる。
何の為に、バイトの合間にわざわざ帰って来てると思ってんだ。
それもこれもこのおバカが、俺が帰って来るのを見越して遅くまで帰りやがらねぇからだ。
俺がいないぶん、ばあちゃんと居てくれるのは有り難いけども…。
やはりため息をつきつつ、次のバイトの制服代わりの白シャツと黒のパンツに着替えて、革靴を出す。
パタパタと付いて来た妹尾を、自転車の後ろに乗せてゆっくりと漕ぎ出した。
「てんしろぉぅ。何怒ってんのよぅ」
俺の腰にぴったりくっついて、甘えた声を出す妹尾。
「…怒ってねぇ」
柔らかい胸がむにゅっと背中に押し当てられて、つい、少し蛇行運転になる。
いや、俺だって健康な青少年なわけで。
「お前な、いい加減あんまり遅くなんの止めとけ。
俺だって遅くなるかもしんねぇし。
いつでも送って行けるとは、限らねぇんだからな」
「やっぱ怒ってるじゃないの」
「…後、いきなりドア開けるな。
鍵を使ってるのが、強盗だったらどうする」
「はいは~い!も―ッ!口うるさいんだから…」
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