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ブラインドの隙間から朝陽が漏れている。
僕、立花和樹はベッドから起き上がり、サイドテーブルの上の時計を確認した。
7時少し前…
「あれ…?」
確か目覚ましをセットしたはずなのにーー
ここは尾崎さんの部屋だ。
昨夜身体を重ね、一緒に眠ったはずの尾崎さんがいない…
僕は慌ててシャツに着替え、リビングに向かう。
「おはようございます、尾崎さん」
いつものようにコーヒーを飲みながら、尾崎さんは新聞を広げていた。
「おはよう和樹。良く眠れたか?」
居候同然で、家政夫の立場なのに寝坊なんて…
いささか気が緩みすぎではないかと反省する。
「…すみません尾崎さん。すぐに朝食作ります」
「二人の時は名前でいいって言っただろう、和樹」
尾崎さんはあたふたしている僕の側に来て、優しく抱きしめてくれた。
「身体大丈夫か? 昨夜は遅くまで付き合わせてしまったな」
尾崎さんとの甘い夜。
思い出すと、自然に頬が紅くなる。
目覚ましを止めたのは尾崎さんだ。
さりげない気遣いが嬉しい。
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