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尾崎さんとのアメリカ旅行は、僕にとって一生忘れられない思い出になるだろう。
◇★◇
空港まで迎えに来てくれた雪也さんは、尾崎さんに面差しが似た小柄で気さくな人だった。
「君のことは崇宏からさんざん聞いているから初めての感じがしないな」
尾崎さんが僕のことを…?
助手席の尾崎さんは時差ぼけなどないのか終始機嫌よく、雪也さんと話していた。
尾崎さんの叔父、雪也さんの住居は、空港からかなり離れた郊外にあった。
古い家を買い取り自分好みにリフォームしたのだという。
雪也さんは独身だ。
家に着くと、スペイン系アメリカ人のメイドさんが出迎えてくれた。
「君達、今日は疲れているだろうから夕食まで部屋でゆっくりしていなさい」
メイドさんに案内され二階の部屋へ…
カントリー風の落ち着いた部屋にクィーンサイズのベッド…
この部屋で、このベッドで、休暇中ずっと尾崎さんと一緒…
いくら公認の仲とはいえ、ちょっと恥ずかしい。
そんなことお構い無しに、慣れているのか尾崎さんは荷物を下ろして窓を開けた。
「立花、何突っ立ってるんだ?」
「はっ、はい」
慌てて僕も荷物を下ろす。
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