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ゲスト用のバスルームを出ると、微かにタバコとは違う匂いが廊下に漂っていた。
ーー葉巻だ。
実家の父が貰い物だと言ってたまに嗜んでいた。
それに尾崎さんと雪也さんは英語で会話している。
あまりに流暢で、僕には単語位しか聞き取れない
ネイティブな…
二人共僕に遠慮していたのだろう。
清潔なリネンでカバーリングされた広いベッドに横たわると、心地よい疲れがどっと出て僕は直ぐに眠りに落ちた。
しばらくしてぼんやりした意識の中夢を見た。
僕の前髪を優しく撫でる長い指。
その指先が今度は唇に触れる…
リアルな感覚に僕は思わず目を開けた。
「…ごめん、起こしたか?良く眠っていたからつい…」
僕を見下ろしているのは 尾崎さんだった。
夢じゃなかった。
いつの間にか尾崎さんが隣りに座っていたのだ。
「尾崎さん…いいえ」
答えながら僕は上体だけ起こす。
疲れているはずなのに、見つめ合うと身体の奥が熱くうずいた。
「あ…あの、尾崎さん…」
「ん?なんだ…」
「欲しくありませんか?…」
僕が…と言いかけて恥ずかしくなり目を伏せた。
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