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「この辺り」
「だから、ちゃんと整理するように言っていたんです。これに懲りたら売り物は棚に綺麗に整頓して……」
おっしゃる事はもっともだが、お説教はあとにしようね、セロさん。
「それに関して私が思うに、いつもいつも棚があんなふうになっちゃうのは小人さんのせいじゃないかしら」
何が小人だ! アンタの仕業だろ、フルー!
「とにかく、この辺りを掘り返して……」
二人が骨董品の山の上を歩いているのだろう。上からガラガラと賑やかな音が聞こえている。
「そうだ。聞いてよセロ。久しぶりにお客さんが買ってくれそうなの」
「そうなんですか?」
セロさんの声に驚きの色が混じる。驚いてもいいから救出作業の手は止めないで。
「そう、五線紙が欲しいって。物は渡したから、あとは清算するだけだったの」
「……フルー君、この状況で請求できると思いますか?」
「あの、助けてもらえませんか?」
骨董品の山の上で再び始まった問答に、堪り兼ねて助けを請う。
「あ、この下」
「フルー君。わかったのなら手を貸してください。掘り起こしますよ」
私の上でガシャガシャ鳴り出したかと思うと、体にかかっている重みが少しずつ軽減していく。
よーし、これぐらいなら自力で起き上がれるんじゃないかな。せーの!
「よっと!」
ガシャンと一際大きな音を立てつつ体を起こす。
「おお、お客様。御無事で何より……」
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