12696人が本棚に入れています
本棚に追加
/247ページ
「はぁ…。帰るか」
「……?はい」
何故か少し疲れ気味の先輩に、首をかしげる。
「じゃあお邪魔虫は退散しますね。あ、タクシーはもう呼んでありますから。もう少ししたら来ると思いますよ」
「あぁ、分かった」
「んじゃ、また明日ねっ!凛たんばいばーい!!」
「うん、また明日ね。……結衣子、理子、ありがとう…」
さっきあったことを二人は何も聴いてこない。私から話すのを待っていてくれていた。
「大丈夫よ。待ってるから」
「じゃあ行くぞ」
二人に見送られて、私も先輩も靴を履き替えて外へ出る。まだ授業中だから誰かに見られる事はないけど、何となく鞄でまた顔を隠した。
「………可愛いことばっかするなよ」
小さい声で呟いた言葉は、私の耳には届かなかった。
校門の前で待っていたら、すぐにタクシーが来て私達二人を乗せていった。
最初のコメントを投稿しよう!