過去

23/33
12696人が本棚に入れています
本棚に追加
/247ページ
「………」 部屋に着いたのはいいけど、話しの本題に入れず沈黙が続く。 「……あの、わざわざ寄ってもらっちゃって…、ごめん、なさい……その、お話ししたいことがあって」 いざ話そうと思うと、話すことをやっぱり躊躇ってしまう。 「凛……」 「わっ、先輩っ…」 話すことを躊躇っている私を、先輩が優しく抱き締めた。 「俺はお前を嫌いになんかならない。絶対に」 「先輩──…」 「だから凛、教えて…。もっと凛のこと知りたい───…。」 どうしてだろう…。さっきまで話すことを躊躇っていたのに、先輩のその一言を聞いただけで胸のつかえがとれた気がした。 「ありがとうございます、先輩…。話します。私のこと──…」
/247ページ

最初のコメントを投稿しよう!