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「私は残されて、父と二人で暮らすようになりました。だけど……、その事が原因で父は変わってしまいました…。タバコとお酒を飲むようになって、毎日のように知らない女の人が家に来るようになりました。…………それから…」
段々と声と体が震えてくる。それでも、先輩にはちゃんと伝えたい。私は、無意識の内に繋いでいる手に力を込めて先輩の手を握り返していた。
「私に暴力を奮うように、なり…ました……。“お前が居なければこんなことにはならなかった。生まれて来なければ良かったのに。頼むから死んでくれ”毎日のように言われ続けました」
涙が頬を伝う。そしてその涙を見られないように俯いた。
「だけど……、暴力を奮うだけじゃすまなくなりました。父は研究員で、その…、研究所で作っている試作薬を…、私を実験台にして試すようになりました」
昔の事を思い出すだけで、身体中がズキズキと痛くなってくる。耐えるように、繋いでいない右手できつく拳を握り、傷みに耐える。
「生きて、いるっ、のが……っ、辛くって、死のうと、しました……っ」
「凛、もういい───…」
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