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「あ、もうこんな時間なのか」 ふと時計を見ると、もう針は9時を指していた。 「ごっ、ごめんなさい!遅くまで…」 「大丈夫だって。それに、今日は凛のこと知れて良かった」 「先輩…」 ドキン、ドキンと胸が高鳴る。この胸の高鳴りの意味を知らない私は、少しでも収まるようにと胸に手を当てた。 「それじゃあそろそろ帰………凛?」 帰ろうとした先輩のワイシャツを無意識に掴んでいた。名前を呼ばれて、初めて自分がワイシャツを掴んでいることに気がついた。 「……!すみませんっ、私、何を……」 バッと先輩のワイシャツから手を離し、何度も頭を下げた。 「凛」 「わっ」 腕を引っ張られて、先輩の胸へと誘導される。
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