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「一緒にいるからそんな顔するな」
「ありがとうございます」
頭を撫でてくれる先輩の手は本当に優しくて、ずっとこのままでいたいと思ってしまう。
グゥ………
「あ、その……、安心したら、お腹がすいちゃったなぁっ………て」
空気を読めない私のお腹の音は、静かな部屋に響く。
「クッ、このタイミングでかよ。じゃあ一緒になんか作るか」
「うぅー。はい……」
空腹には勝てず、大人しくキッチンへと向かう。
「凛」
「何ですか?」
階段の途中で、前にいる先輩が振り返る。
「好きだ」
「…!?あのっ、先輩……?」
突然の言葉に驚き、足を止める。
「ふっ、言いたくなっただけ。ほら、行くぞ。じゃないとまた凛の腹が鳴るからな」
笑いながら階段を降りていく。だけど私の足はまだ動かないまま───…
「私、今絶対顔真っ赤だ」
頬を両手でおさまえて、階段に座る。
そして、日に日に酷くなる胸のドキドキ。
「うーん…。結衣子達に聞けば分かるかなぁ…」
「凛?」
「はーい!今行きます」
胸のドキドキが鳴り止まないまま、階段をかけて降りた。
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