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一瞬、身体が凍りついたかのように冷たくなったのは言うまでもない。
「…え、2人共、ヤるって何を…うわっ「ねーねー、それより凛たんっ、こんな所で油売ってていいのかにゃー?」
急に背中に抱きついてきた理子に、その話なんかより、と言葉を遮られた。
「そうよ、凛。あんたまだ先輩の事避けてるの?」
「う……だって…」
結衣子の呆れた顔で見られ、口をもごもごと動かし視線を宙にさ迷わせる。
「You!!いい加減白状しちゃいなよー!」
「ちょ、りっ、りこっ、ぐるしっ…!」
首に腕を回して、そのまま思いっきり力を込められる。ペチペチ腕を叩いて腕の力を緩めてもらう。一瞬、頭の中にお花畑が見えた気がした。
「まぁいいわ。取りあえず頑張りなさい」
「え?なに言って……」
首を傾げながらも結衣子の視線の先を追ってみると、遠くからでも分かるくらい不機嫌そうな先輩が立っていた。
「……あっ」
理子と結衣子に助けを求めようとしたけど、2人は既に屋上から居なくなっていた。
全く気付かなかった。もはや神業ではないだろうか。
現実逃避もいいところに余計な事ばかりを考えてしまう。
「なぁ、どうして俺を避けるんだよ」
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