川のほとりで

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時折、嗚咽が入り言葉が途切れ途切れになっていた。 「さっきも言ったろ、俺は君の力になりたい。 何があったのか、話して?」 「……ありが、と」 比奈は深呼吸をするように息を吸い込み、話しはじめた。 「比奈には『香奈(かな)』っていう、双子の妹がいるの。 そして二人でゲームに参加して、二人とも同じ場所に出たの。 それでね、そこで大きくて、強そうで、けれど優しい、お父さんのような男の人出会ったの」 そこで涙でぐしゃぐしゃになっていた比奈の顔はふっと緩んだ。 まるで大切な人の話をするかのように。
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