川のほとりで

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「その男の人の名前は紅 炎(くれない えん)。 最初出会った時は怖くて、殺されちゃうかも、って思った。 比奈はただ泣いているだけだった。 香奈もただオロオロしてばかりいた。 彼は隆之君よりもっと背が高くて、体は大きくて、強そうだったし……」 ……ん? 俺、もしかして馬鹿にされてる……? まあいいか、続きを聞こう。 「腰が抜けて、足は動いてくれなくて、比奈は泣くことしか出来なかったの。 比奈、ホントは泣き虫だから。 ――だけどね、炎は比奈達に何もしなかった。 武器も荷物も地面に置いて、両手を挙げてわざわざ丸腰であることを証明してね。 『私は君達に手をかける気はない。 だから、その、泣き止んでは貰えないかな?』って言ってくれて……。 それからかな、比奈達が『友達』になったのは」
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