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俺が戦闘に見惚れていた、その時、突然の爆発音が辺りに響いた。
詩織が拳銃を発砲したときの火薬の破裂音なんて生温い、本物の爆発音。
自然とその音に釣られて、そちらを見てしまった。
木から濛々と煙が立ち上り、支えを失った鎖が下に落ちていた。
そして――
比奈の妹、香奈を抱えて空を飛ぶ水樹の姿があった。
「西塚さん!」
俺が絶望したり、戦いに見惚れたりしている間に、彼女は自分の任務を達成していたのだ。
同時に、俺の中に劣等感が芽生える。
水樹や佳織は大活躍し、蓮も必死に健闘した。
比奈でさえ、自分の役目を果たした。
しかし……俺は一体何をした?
ただ、炎の攻撃から逃げ回っていた。
いざと言うときになっても、何も出来なかった。
俺の心を、黒い影が蝕んでゆく。
これだとリーダーどころか、ただ足を引っ張っているだけではないか。
胸がチクリと痛んだ。
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