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「って、あれ?
バイオリン、どこ?」
香奈には武器(?)であるバイオリンどころか、リュックサックすら身につけていなかった。
「……あの折れた木の根本にあるのが、そうじゃないの?」
水樹がボソッと告げる。
確かに、折れた木の根本には何かがある。
「……取りに行く」
と、水樹は翼を羽ばたかせ、飛び立とうとした。
「あの、待って……ください。
わたしも、行きます」
恐る恐る香奈が挙手をし、告げた。
「……分かった」
水樹は一旦地面を蹴って空中に飛び上がり、旋回してこちらにやって来た。
そしてそのまま香奈を攫って飛んでいった。
「ふぇ……?
……ふぇえぇえぇえ!!?
わわわわたし、とととと飛んでるうううう―――」
段々と小さくなる香奈と水樹を見送り、一つ溜息をついた。
…………
……
…
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