強敵

20/29
前へ
/550ページ
次へ
「って、あれ? バイオリン、どこ?」 香奈には武器(?)であるバイオリンどころか、リュックサックすら身につけていなかった。 「……あの折れた木の根本にあるのが、そうじゃないの?」 水樹がボソッと告げる。 確かに、折れた木の根本には何かがある。 「……取りに行く」 と、水樹は翼を羽ばたかせ、飛び立とうとした。 「あの、待って……ください。 わたしも、行きます」 恐る恐る香奈が挙手をし、告げた。 「……分かった」 水樹は一旦地面を蹴って空中に飛び上がり、旋回してこちらにやって来た。 そしてそのまま香奈を攫って飛んでいった。 「ふぇ……? ……ふぇえぇえぇえ!!? わわわわたし、とととと飛んでるうううう―――」 段々と小さくなる香奈と水樹を見送り、一つ溜息をついた。 ………… …… …
/550ページ

最初のコメントを投稿しよう!

44人が本棚に入れています
本棚に追加