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「そんなに褒めないでくださいよ……照れます。
――これは祖父に教えてもらったんです。
……本当は使いたくなかったんですけど」
「何故?」
「人を傷つければ、自分も傷つくからです。
ですからこれは、本当に何かを守りたいと思った時だけにしか使わないようにしているんです」
夕日に照らされた佳織は、遠くを見つめていた。
彼女がこの体術を会得するのにどれだけの苦労をしたのだろう。
守りたいもの、とは恐らく詩織のことだったはずだ。
今は皆に向けて言っているのだろうが。
「……姉さん――」
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