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谷底を覗き込んでみる。 見ていて吸い込まれてしまいそうだ。 闇が広がっており、当然、下まで見えるはずもなく……。 無理に渡ろうとして落ちたら大変なことに―― 「わっ!!」 「ひょええええええ!!?」 詩織にトン、と押されて素っ頓狂な声を出してしまった。 柵があるとかならまだ許せる。 しかし、これは洒落にならんぞ。 心臓の鼓動が急激に早くなり、冷や汗が出てきた。 「し、しおりぃ……俺を殺す気かあ……」 足腰に力が入らなくなり、地面にへたりこむ。
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