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下に広がる闇。
震えの止まらない足。
深呼吸は5、6度した。
ゴクリ、と唾を飲み込む。
そして、一歩目を――
「待て、隆之」
止められた。
「何?せっかく渡ろうとしていたのに」
「……いや、ちょっとな」
蓮は何かを考えている様子で杭に近づいゆく。
そして、杭におもむろに蹴りを放った。
「ちょ……」
あまり強い一撃ではなかった。
なのに………深々と杭はあっさりと抜け、支えを失った橋はそのまま谷底に落下し、消えた。
「やっぱり、地面が緩かったな。
これは炎のせいじゃない。
そう簡単に渡らせないようにするためのゲーム会社の悪意だろうよ
やけに簡単に杭が刺さるからおかしいと思ったんだ」
「…………」
「…………」
「…………」
「…………」
「…………」
「…………」
ヘナヘナと地面に座り込んでしまう。
いかん、また腰が抜けた。
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