14/21
前へ
/550ページ
次へ
下に広がる闇。 震えの止まらない足。 深呼吸は5、6度した。 ゴクリ、と唾を飲み込む。 そして、一歩目を―― 「待て、隆之」 止められた。 「何?せっかく渡ろうとしていたのに」 「……いや、ちょっとな」 蓮は何かを考えている様子で杭に近づいゆく。 そして、杭におもむろに蹴りを放った。 「ちょ……」 あまり強い一撃ではなかった。 なのに………深々と杭はあっさりと抜け、支えを失った橋はそのまま谷底に落下し、消えた。 「やっぱり、地面が緩かったな。 これは炎のせいじゃない。 そう簡単に渡らせないようにするためのゲーム会社の悪意だろうよ やけに簡単に杭が刺さるからおかしいと思ったんだ」 「…………」 「…………」 「…………」 「…………」 「…………」 「…………」 ヘナヘナと地面に座り込んでしまう。 いかん、また腰が抜けた。
/550ページ

最初のコメントを投稿しよう!

44人が本棚に入れています
本棚に追加