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俺の意識は憎悪に押され、隅へと追いやられていた。
いくら殺したくない、と思っていても、脳すら支配されているかのように、身体は言うことをきかなかった。
一歩、また一歩と歩み寄る。
まずは地面にはいつくばって逃げようとしている鈴木からだ。
ユラリと剣を持ち上げた。
剣は鈴木の背中に吸い込まれるように刺さり、骨を貫く感触が手に伝わった。
断末魔の悲鳴の後、痙攣が始まる。
剣を抜くと、また血飛沫が舞った。
世界がさらに赤く染まった。
それだけでは怒りが収まらないようで、2度、3度と剣で突いた。
そして4度目を繰り出そうとしたら、鈴木は光となって忽然とその姿を消した。
空を切った剣はそのまま地面に刺さった。
返り血を浴びたはずの体には一滴も血がついていない。
これがこのゲームでの人の死、なのだ。
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