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「テメェ、人殺しはしないんじゃなかったのかよ! 何でそんな平気な面して人を殺してんだよ!」 蓮の声だ。 しかし何もかもが赤くて、誰なのか視覚では判断できない。 コイツは蓮じゃなくて、もしかしたら金森が生きていて、襲い掛かってきたのかもしれない。 そんな事がありえるはずがないのに、俺は声の主を『敵だ』と見なしてしまった。 握っていた剣に力をこめる。 そしてそれを――― 振ることは出来なかった。 銃声の後、剣が手から離れてしまったからだ。 手がじくじくと痛む。 「仲間にまで手をかけるのか……? ……正直、見損なった」 詩織の悲しそうな声が聞こえた。 違う。 そう言いたかった。
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