11/22
前へ
/550ページ
次へ
「………炎さん、今のうちに比奈ちゃんと香奈ちゃんを」 暴れてみても、びくともしない。 少しでも力をいれようものなら関節が破壊されるギリギリのところまでキメられていた。 「【製造】」 の声の後、地響きがまきおこる。 数分後、二人分の足音が新たに加わった。 「……皆、耳塞いだほうがいいの」 比奈の声だが、いつものような元気さは感じられない。 通夜に参加しているかのような暗い雰囲気が見えなくても伝わってきた。 「……お姉ちゃん、失礼だね。 【演奏】」 耳がおかしくなるような轟音が聞こえ、頭のなかがぐちゃぐちゃになる。 ――――それと同時に、俺の意識はそこでプツンと音をたてて途絶えた。
/550ページ

最初のコメントを投稿しよう!

44人が本棚に入れています
本棚に追加