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夜は少し気温が低めに設定されているようで、涼しくて気持ちが良い。 「……蓮」 「うん?」 「……俺さ、皆と一緒に旅できて、楽しかったよ」 「……突然、なに言って――」 「だけど俺は人を殺した。 皆と居ることは、もう……出来ない」 「まだそんなこと……。 ……まさか!? やめ――」 「バイバイ、蓮。 そして、皆。 【神眼】」 蓮が、俺を掴もうとした体勢で止まる。 音も、色も、全てが無くなった世界。 俺はゆっくりと立ち上がり……。 「さようなら」 もう一度、最後の別れを告げたのち、全力でその場から走り去る。 こうして、俺は仲間と別れ、一人ぼっちになった。 これでいいんだ。 そう、自分に言い聞かせ、夜の闇の中に溶け込んで行った。
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