谷底にて 【水樹】

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「あー【減速】【減速】【減速】うううう! 世界の時間よー、遅くなーれー」 突如聞こえてきた声とともに私の体が急に落ちるスピードを落とす。 普通はGがかかるはずだが、本当に時間の流れがゆっくりになったかのように、落ちるスピードが遅くなった。 「……およ? 何か降ってくるぞ?」 女の人の声だ。 私は助かったのだろうか……? いや、この人が殺人鬼だという可能性もある。 しかし、今の私では何も出来ないので襲われたらそれでゲームオーバーだ。 「……少女……? ッハ!もしやシー○かしらん!?」 ……訂正。 ただのアホの子の可能性が高いみたい。 ゆっくり、ゆっくり谷底に落ちてゆく。 そして……。 「よっと」 女の人に抱き抱えられる形で谷底に到着した。 どんな仕組みなのか知らないが、ぼんやりとした薄明かりが谷底を照らしていた。
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