谷底にて 【水樹】

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「おい、少女。 大丈夫か、少女」 黒髪をショートカットにした女性だ。 同じ髪型でも詩織さんはカッコイイけど、この人は活発な印象を受ける。 背中が地面に着く感触があり、その後、肩をポンポンと叩かれる。 首を軽く動かして反応しておいた。 「して、どうしてこんな所にやって来たんだい? 失恋の末の投身自殺?」 ……失礼な、まだ恋すらしたことがないのに。 「うーん、本当にヤバそうだねぇ。 頭を怪我してるみたいだね。 さて、あちしのリュックになにかあ・っ・た・か・なっと」 鼻歌混じりでリュックを漁りはじめる女の人。 「んー……。 おっ! オロナ○ンー!」 某たぬ…猫型ロボットの声を真似て薬を取り出したようだ。 ……しかし、よくそんなものがあったもんだ。 「応急処置としては大分お粗末だけど、勘弁な! ……しっかし、少女よ、あんたえらいベッピンさんさね」 後頭部に薬を塗ってもらった。
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