谷底にて 【水樹】

8/20
前へ
/550ページ
次へ
「……何かって?」 「何でもいいよぅ! この空気にあたしゃ耐えられんのだよ」 「……じゃあ、貴女はどうして、私に対して背を向けていられるの? ……私が襲い掛からないとも限らないでしょ?」 「んえ? んー、水樹ちゃんは悪い子に見えないし。 それにさっきも言ったけど、あたし達はもうここから出られないの。 そう考えたら別に死んでもいいやっ…てね」 「……そう」 彼女は、私がスキルで空を飛べるということを知らない。 もし、話してしまったら途端に襲ってくる可能性もある。 黙っているのが一番だろう。 まだ頭がクラクラして、満足に飛ぶことが出来ないと思う。 ある程度回復するまで休んでおこう。
/550ページ

最初のコメントを投稿しよう!

44人が本棚に入れています
本棚に追加