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蹴りを放ち、膝に命中させたところで逆転の一手にはならない。
逃げるにしても、こんな状態じゃ逃げ切るこてなど不可能だ。
…
ふと、頭に浮かんだのはスキルカードのことだ。
『数秒だけ時間を止める事ができる』
これなら…いけるかもしれない。
「…神眼」
そう呟くと同時に辺りに静寂が走る。
周りの景色が色を無くし…
そして全ての音が止まった。
(逃げ…なきゃ…)
痛む頭を押さえ、ヨロヨロと森の中に入って行く。
森に入って数歩のところで辺りは色を取り戻した。
木にもたれ掛かって息を整える。
息を吸うたび、ズキン、ズキンと傷が脈動した。
傷に手を当てると、手にはべったりと血が付いていた。
…これで良く生きているものだ。
「~~~!!」
奴の声が聞こえた気がした。
あまり長居はできない。
傷口を手で押さえつけ、俺はその場を後にした。
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