谷底にて 【水樹】

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さらに、高度を上げる。 そして…… 「シャバだあああああ!」 私達は谷底から抜け出すことが出来た。 そのままもう少し高度をあげて辺りの様子を確認してみた。 暗くて見えにくいのもあるが、見た限りでは人っ子一人いない。 「水樹ちゃん?どうしたんだい?」 春奈が私の様子が少しおかしいことに感づいたのか、 「……何でもない」 そのまま羽ばたく力を弱め、植物が少ない方の地面にゆっくりと降り立った。 「水樹ちゃん! 君はあちしの恩人だ! どこまでもお供しまっせ」 「……ついて来なくていいよ」 「んもぅ、素直じゃないんだからぁ~。 さてはお主、ツンデレかにゃ?」 「……べ、別にそんなんじゃないんだからね。勘違いしないでよね」 「にゃはは、ナイスノリ! そして無表情でその台詞の棒読みはちょいとシュールだぜぃ?」
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